花吹雪
コンサートのライブ配信をお聞きしながら、会場を目の前にして歩いている時でした。低い階段の段差があることに気づかず、悪い方の足を引っ掛けて思いっきり両膝と手の小指を石の階段に打ちつけました。会場を目前にして、よりによってなぜと自己嫌悪に陥りながら、痛む足に気をつけてと声に出しながらホールに向かいました。他のことに気を取られているからと、自分の状態がわかります。第一部の後半、水色の小さな花が辺り一面吹雪のように舞い上がる中に私はいました。抑えきれない狂おしいものが、舞い上がる花と共に一気に込み上げてきました。あまりにも切なく美しく、そしてかなしみが舞い上がるのです。私は何を押し殺し、抑えつけていたのだろうか。水色の小さな花となって舞い上がり続ける第一部でした。
第二部では、父の大きくて、あたたかな手に包まれました。余計なことは云わないけれど、いつも私を黙って見守ってくれていたことに涙が溢れます。同時に、車椅子に座る母の姿がありました。いつの間に、こんなに小さくなっちゃったのだろう。涙が溢れて仕方ありません。特別養護老人ホームに入ったことで母が週末に自宅に帰らなくなってから、私は母に触れていないことに気づき愕然としました。月一度の面会時に同じ部屋にいながら、私は椅子に腰掛け何をしてきたのだろう。母をこの手で抱きしめたい、と突き上げる思いに駆られました。涙が溢れる中、「魂の静養」と突然コンサートメッセージが蘇り、更に涙が止まらぬコンサートです。なんという日でしょう。ありがとうございます。