真髄
家の近くの畑に咲く薔薇を眺めながら、写真を撮っていました。その瞬間、息が止まりました。何が起こったのか、分からず薔薇を見つめていました。突然、はらりと花弁が塊で地に落ちたのです。儚い人生を見たようでした。人生を考える朝です。それは、毎日、今、今の積み重ねです。滲み出る、醸し出すものは、学んでもできない、その人の生きてきた人生そのものなのだと、薔薇の花弁から学びました。仕事では何一つ思うように運ばず、時間ばかりが過ぎ去り苛ついていました。これから6月の連続コンサートが始まるというのに、既に力尽きたような感じで会社を出ました。慌ててライブ配信をつなごうにも、なかなかつながらずメッセージをお聴きできずに苛立ちます。渋谷から早く行こうと改札口を聞いたことで道に迷い、それならいつもの道を来ればよかったと何もかもが苛立ちます。何をそんなに苛立つのか。先生のピアノの音を急ぎ足でお聴きしながら、情けないほど苛立つ自分を考えます。心に何もなければ、苛立つものなどないはずです。自分の中にあるもの、自分の状態が丸出しでした。既に戦う前から自滅しています。この戦い方は何としても今日で終わりにしたいと、ロビーで演奏をお聴きしながら、なかなか消えない苛立ちのまま会場に入りました。
第二部の「女と男」とのメッセージに驚きました。思わず、第一部のメッセージが何であったのかと気になりつつ、お聴きしました。不思議な時を告げる音が聴こえます。ねじ込まれた音が聴こえます。そして、解かれていく音へと変わっていきます。突然、喉が詰まったかのように咳き込みそうになりました。何とか必死で抑え込みましたが、先ほどまでの苛立ちや抑え込んでいたものが、解かれていきます。気づけば、見たことがない舞踏会が繰り広げられていました。こんなにも華やかで楽しく幸せに満ちた舞踏会は、見たことがありません。女も男も生き生きとしており、誰もが美しく活気に溢れています。やがて深く包み込む世界は、女と男の本来の姿を現しているようでした。「真髄」と言葉が生まれます。愛の懐です。宇宙に通ずる女と男の関係が、これから現れるのだと分かるコンサートです。ありがとうございます。