真尽し

清水のせせらぎのような弦の音色に全身洗われるように包まれ、鴨川…と高麗さんの御声が…。美しいさみだれの如く 弦の響きが次々 高麗さんの御言葉と重なり広がり、深い音の世界に引き込まれていきます。地の底、川の底に埋もれる魂が 静かに動き出したことを告げる詩。「天からの…美しい音に誘われ目覚める魂」が出会いを待っていると。音と言葉と映像がぴったりと合い、木々の緑揺れる空間は 爽やかに薫るようで言葉尽くせぬほど。この美しさで、世界が完全に新しい時代を迎えたことを解りました。「飛翔し続ける魂」。それからは 超スピードの宇宙旅行でした。「全ての作り物は壊れ去り…あらわる真」。最近の出来事を思い浮かべる間もなく いだきしん先生の音と高麗さんの御言葉は次々空間の塵を一掃されていきます。程なく凄い振動音と共に真の神 顕る時が訪れ、眼の前の映像にはフレイム、炎が立ち 只中の高麗さんが「闇が溶け光に変わる今」と…。詰ったような太鼓のトラック聴こえ 先生の叩かれる太鼓が破裂するばかりの勢いで重なり、映像と舞台に広がる影のアートに包まれて 目を見開き通しでした。先生のギターは蒼い風を呼び 好太王様あらわれ、クラリネットの遠い響きの先から東明王様が降り立ち、この方たちと居られる空間の素晴らしさに畏れと安堵を同時に感じていました。ラストに「人間の生きれる世界 創ってゆく」と 高麗さんが語られた時 全身汗滲んでいることに気づき、先日の御講演『死について』の最後に、いだきしん先生が「今 働きかけている」と仰った尊い瞬間が蘇りました。あの時も気づくとじわりと全身汗滲み、身体の芯から温まっているのを実感したのです。鈍る身体をも慈しむような 大いなる存在の働きかけに、感謝の涙いっぱいになりました。真尽しの 京都・高句麗伝説。本当にありがとうございます。
岩村ゆかり