的
無観客コンサート後でもあり、高句麗伝説前日でもある迎賓館コンサートは、とても緊張しました。最初から、自分の状態がそのまま露わとなります。頭の振れが横振れとなり、船酔いのように気持ちが悪く、焦点が定まりません。必死で何とかしようとした時、頭から指令する縦の世界に驚きました。自分の中で作る縦の世界でした。気づけば、体の中心に先生のピアノの音が響きます。そして、体の中心から頭に、全体に包まれ安堵しました。
休憩後に先生が話された、朱蒙様の「天に放つ神の矢」は、まるで今この瞬間に放たれたかのように見え、弓の音まで聴こえて驚きました。高麗さんの「弓を射ること100発100中、弓の名人」の声が蘇ります。先生がお話し下さった後の高句麗伝説は、高麗さんの言葉がどのように響き伝わるのか、楽しみでなりません。そして、その後に先生が「弓」をピアノで表現された時、「的がなくては弓を射ることはできない」と仰った通り、正にそのままを経験しました。私の的は、一体何かと問うていました。自分が振れる理由が分かりました。弓を射る前に的がないのです。的、私にとっての的は何なのか、問うたまま演奏が終わりました。何かが吹っ切れたかのように、妙にスッキリと視界が広がっていました。大粒の雨も小気味よく、その後に立ち寄った高麗ギャラリーカフェの2階では、何もかもが幸せで楽しく、自分が好きになりました。私の的を分かりたいです。今日となりましたが、迎賓館コンサートがあっての無観客の高句麗伝説に、またしてもドキドキと緊張しています。よろしくお願いします。