琵琶湖の光
さざ波の音に誘われ、湖畔のしみこむような光に魅かれ、思えば、学生時代から何度も琵琶湖を訪れている。もう死にたいような気分になって、湖畔の宿に一泊したこともある。海津辺りの民宿が青春の「隠れ家」だった。また、近江舞子には何度も研修や講座に通った。さらに、切り立つ比良連峰こそは、わが愛する山歩きのメッカである。眼下に光る琵琶湖に何度気を晴らしたことか。なるほど琵琶湖の輝きこそは、わが命の内奥に届くものだったのだ。
昨日のコンサートは、なにか生涯を振り返らせ、わたしの人生をすっかり洗い清めてくれるものだった。明日から清新な気持ちで、また生きていけるぞとばかり思っていた。そして、もう一つ良いことがあった。
人工のLSDの光の絶えられないと語り、引き籠ってしまったHさん(54歳)が、当日になって会場に現れた。(ずっと誘ってくれていたOさんがチケットを用意してくれたので参加できた。)何度電話しても留守番設定、手紙を書いても梨のつぶて。中高年の「ひきこもり」が61万人との報道に気が気でなかったが、応用講座でも、何をどうお尋ねすべきか分からなかったので黙っていた。しかし、本人は、「誘ってくれてありがとう!」と何度も言う。コンサートの後、表情が明るくなり、自分の住む堅田や、この打出浜当たりの変貌を、明るく語るので、ホッとした。(なんでも演奏中に何度も尿意を催したとか。新陳代謝が起こったのだ。)聞けば、昔、「初級コース」を受講したことがあるのだとか。かれのように感度のメンテナンスが必要な人が多いことだと思う。ともあれ一人は「救済」できたようでうれしい。先生、ありがとうございました。