父の薔薇

今日は母のお誕生日でした。一足先に昨日、面会に行きお祝いをしてきました。毎年「美味しいね」と言って食べるフルーツケーキでしたが、今年は一緒に食べることはできません。父が植えた母の大好きな薔薇プリンセスミチコも見ることができないので、いつでも部屋で眺められるように友達に特別な花籠を作っていただきました。特別養護老人ホームに入所する安全と引換に、大きな不自由はかなしみを伴います。今まで毎週家に帰っていたので、その時の記憶で家に帰りたいと云う母の言葉は胸が痛いです。少しずつ緩やかに記憶が交錯していく母との会話は、笑いとかなしみと寂しさが入り混じり切ないです。面会後に一カ月ぶりに帰る家が見えると、玄関先に父の薔薇が満開に咲いていました。穏やかな父のあたたかい笑顔を思い出し、私をやさしく迎えてくれる父の薔薇に涙が溢れます。この家を建てた時、美智子様が大好きな母のために父が植えたプリンセスミチコが、母を思わせる温かみのあるオレンジ色で美しく咲いていました。クリームイエローの薔薇と共に、今年はたくさんの花を咲かせていました。「お帰り」「ただいま」無人になった家を守ってくれています。父の愛、魂をそこに見ました。美しく咲き続ける薔薇に泣きたくなります。どうか母が健やかに元気で過ごせますようにと願います。