父の薔薇
2週間振りに、母に会いに行きました。母は、あきらめていました。夜になると、相部屋の方の泣き声が聞こえると言います。「誰しもなりたくてなったわけじゃない」と言います。黙って話を聞いていました。「家に帰っても、このままじゃ何もできない」「確かにそうだね。今のままではね。先ずは起き上がるようになろうよ。次は足を床に着こう」気づけば、先生がお義父様に仰られたことを伝えていました。母の瞳が、大きく開きました。腕を見せて、「細くなったけど握力はあると褒められた」と、明るい声で教えてくれました。「よし、じゃ次はやっぱり足だ」と明るく笑いながら、母に一人じゃないと伝え続けるのが私の役目だと思いました。その後に実家に帰ると、亡き父の薔薇が二輪咲いていました。カラカラに乾いた土の上で、父が「お疲れさん」と言ってるようでした。泣きながら、庭に水を撒きました。私は、母の力になっているのだろうか。こたえはわかりませんが、父の薔薇が咲いていたことが、ただ嬉しく見つめていました。
今日も母に会いに行きます。担当医とスタッフの方々との初めての面談もあります。すべてを終えて、「高句麗伝説」に向かいます。元気に行ってきます。