無邪気
明け方に、母の夢を見ました。食べたがっていたお寿司を買って待っていると、母は同じお寿司を食べて帰ってきたと言います。がっかりすると同時に、「同じものは、もう一回食べられないね」と笑い合いました。目覚めたときも、口元がまだ笑っていました。何でもない夢ですが、考えました。母は入院してから、「コンビニのお握りを食べたい」と言い続けています。朝から晩まで、お粥と小刻みにされた何だかわからないおかずばかり食べていて、うんざりだと言います。京都に向かいながら、おむすび弁当を買って食べている私は幸せです。お握りは、究極の食べ物なのかと考えます。新幹線から眺める富士山は、鮮やかな真っ白な帽子をちょこんと被っているようで、とてもかわいいです。富士山を眺めて、かわいいと感じたのは初めてです。無邪気なその姿に、ある方の笑顔が浮かび、母の穏やかな顔と重なります。本来の人間は無邪気なのだと、人生を考える今です。迎賓館コンサートを、よろしくお願いいたします。