KEIKO KOMA Webサロン

母は今、生きている


一昨日、今後の母のことで面談の為に施設へと向かいました。真夏のように暑い昼下がり、母は私を見ると穏やかに微笑み手を上げました。おやつをいただいていたと教えてくれます。面談は母抜きで、ケアマネージャー、看護師、介護士の方たちと行われ、特別養護老人ホームをまた勧められることは分かっていました。驚いたのは開口一番、母の認知症の二面性を告げられたのです。リハビリ病院の退院時には既に認知症を発症していたこと、施設に行くしかない選択肢の中で自宅を希望していたので、やるだけやろうと決められたこと、それから6ヶ月経過し二面性が現れていること等を具体的に聞かされショックでした。薄々は気づいていたことを、目の前で言葉にして聞かされると逃げようもありません。これからの季節を考え、何より怖いことは母がどうしても自宅で一人で居ざるを得ない時間帯の脱水症状だと云います。93歳の母に、いつ何が起こってもおかしくないと。「そんなことは分かっています。誰かのせいにするつもりはありません」と申し上げました。ですが、「今であればまだ娘さんのことが認識できる。他の人とコミュニケーションが取れる内に対応することが、お母様にとっても幸せである。娘さんを認識できなくなってからでは、娘さんが傷つく」と云われます。「自分の家にいるという母の生きがいが失われないか」と私が一番気になることをお聞きしたら、「既にそれすら分からない時がある」との言葉に打ちのめされました。「残念だけど親はいずれ死んでいく。何より娘さんの人生を一番に考えてください」ケアマネージャー含め、皆さんがご自身の体験を話してくれました。1時間の面談後、私は「以前見学に行った特別養護老人ホームに申し込みます」と答えました。勘違いではないのだと、その後帰宅してから裏付けされる事象を目の当たりに見ました。「今が決断の時、大事な岐路に立たされています」先ほどの言葉が重くのしかかりました。突然「何の話だったのか」と母が尋ねます。私は、暑さに弱い母の脱水症を皆さんが心配してくれていると、そのまま伝えました。そして、「以前見学に行った特別養護老人ホームに申し込むね」と付け加えました。母は私の顔を見つめ、「あんたがいなかったら、とっくに死んでいた。それなのにお金ばかり使うね。生きてても仕方ないね」私は瞬時に笑っていました。「生きている以上、誰だって食べるし、生活にお金はかかって当然だよ。私も一緒」と。母は、いつものように「ありがとう」と言って眠りにつきました。

翌朝、布団を干して洗濯し、母が気持ちよく過ごせるようにと動いていました。母のお迎えが来て誰もいなくなった家の中で、母の布団や服を衣替えする中、ふと庭先に目を向けました。先週は気づかなかった紫陽花が大きく育ち、花を咲かせようとしています。荒れ放題の父の庭は、たくましい花たちが生き生きと咲いています。今、こうして母の為に行えることがある。母は今、生きている。特別養護老人ホームを申し込みます。そして今日、弁護士に相続の諸手続きを進める為に連絡をしました。何が幸せなのかと愚図愚図浸っている間があるなら、私が動かずして誰が動くのだと気持ちが変わりました。3日間の高句麗伝説のオンデマンドをお聴きしながら、元気に前に進めることがありがたいです。更に今日はアントレプレヌールサロンで、先生にお会い出来ることが何より力となります。よろしくお願いいたします。

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仙台高麗屋より
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NPO高麗 迎賓館にて