KEIKO KOMA Webサロン

母の発する一言一言


昨日、母に会いに行くと気持ちよさそうに眠っていました。車椅子へ移動することをお願いすると、初めてお見かけした若い男性が対応して下さりました。軽やかに移動する母に「上手ですね」「これだけはいつも褒められるの」との会話が、とても和やかでした。そして素早く洗面所に置いてあるブラシを取って、母の寝起きの髪を丁寧に梳かして下さったのです。驚きました。そのやさしさに頭を下げ、感謝で一杯の始まりでした。「最近、目眩しなくなったの?」「食っちゃ寝、食っちゃ寝してて何一つ働いてないのに、目眩してたら取るとこない」と母がふふっと笑いました。母は、ずっとずっと無理して頑張ってきたんだなと、静かに笑う顔を見て不意に切なくなりました。頑張らなくていい時は施設の中で、帰りたいと云われる度にいつも言いようのない胸の痛みが起こります。「あの奥の写真取って」写真を渡すと「この人誰?」と指差しました。それは何十年前かに家族で撮った写真です。「パパさんじゃない」「あぁそうか。若い頃よく来てた人に似てるなと思った」母の顔を見つめながら、先月も同じ会話をしたことを思い出しました。その時は、若かりし父と母との出会いの話を初めて教えてくれたのです。黙って母は写真に写る父を指で触れながら、穏やかに眺めていました。最近の母との会話で、痴呆が進んでしまったのかと思う時があります。私のこともその内に忘れてしまうのかと、一瞬頭の中を掠めましたが直ぐに打ち消しました。今、この目の前にいる母がすべてです。母との会話は笑いながらも、一人の人生として様々なことを考えさせられます。一瞬でも痴呆が進んだかなと思った自分を恥じました。母の発する一言一言の言葉には、とても深いものがあると気づいたからです。私に発する言葉を表面的に捉えてしまったら、とんでもないことになると気づかされた今です。もっと真っ当な人間になって母と向き合おうと、心新たにしました。今日はアントレプレヌールサロンで先生とお会いできることが、ありがたいです。よろしくお願いいたします。

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三鷹市芸術文化センター 風のホールにて
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盛岡岩銀赤レンガ館にての作品展2
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結工房にて