母から学ぶ

自分でできなくなったことが多くなったとしても、自分ができることをやり続ける母の姿は尊いと思いました。先日面会に行くと、車椅子に座る母の足が骨しかないんじゃないかと思ったくらいあまりにも細くて驚きました。私の気持ちを察したのか「いざとなったら裸足で家まで逃げる」と云いました。「すごいね」と思わず笑ってしまいましたが、同時に泣きたくなりました。「ブラシを取って」と云うので渡すと、自分の髪の毛を丁寧に梳き始めました。「他人にやってもらってもきれいにならない。こうして地肌に沿って梳けば力なんか要らない」あっという間に母の髪はきれいになりました。季節折々の庭に咲く花を花瓶に差し、料理を作るのが大好きで、お金をかけずに豊かに暮らしていた母。母は今、特別養護老人ホームに居ても何一つあきらめていないと伝わります。自分の内にある心の豊かさを失わずに生きていくことを、母から学びました。母と過ごす時間に人生を学びます。何一つ不自由なことがない私の方が貧しいと感じました。人間の奥深さを学ぶ今です。