打つ手はないが……
「心クリニック」に電話してくれと本人が苦しそうに言うものだから、そうすると、「今日受けつけなさっても、二週間後しか予約は取れません。また、20歳未満の人の場合は、親のの同席が必要です。」とのことであった。悩める人の多さと、診療の難しさを改めて知る。しかし、本人は、「もう生きていても仕方ないようにも思う。」と苦悶の様子。わたしにはどうしてもわからないのは、親がよく平気でいられるということ。予備校へもゆかず、一日、体調が悪いというわが子を、何とかしてやろうとは思わないのだろうか。「親は愚かすぎて、何もわからないんです。」と、子どもは語る。仕方ないから、「イダキサウンド」をバックに、整体をしてやったり、新聞記事を一緒に読み、話し合ったりする。かれが大好きな戦略論もし、ドイツ軍の優秀さで意気投合したら、かれの表情が明るくなり、「ありがとうございました!」とあいさつして帰っていった。かれに足りないのは、「社会性」。それこそ計画を立てて、時間を有効に使ったり、他人との約束を守ったり、自分の都合だけで行動したりしないことであるが、かれはそれができない。悪気もなく、自分の都合に負けてしまう。要するに、「大人になり切れていない。」のであるが、それを「発達障害」と名付けてみても、どうなるものでもないかもしれない。また、金曜日に来るという。打つ手はないが、手探りでやっていくしかなさそうだ。