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心の向きを変える


いま読んでいる矢内原忠雄著『イエス伝』(中公文庫)の最初に、「救いは心の向き直りだ、からだ全体を神様の方へひきむけることだ。」と「メタノイア」を説明していて、わが心に痛く響いてしまった。以来、いくら言葉を美しくしても、言葉遣いに気を付けても、「心の向き」が変わってなければだめだと気づいた。しかし、それは反省とか、悔悛とかとはどうやら違うし、努力とか勉強とかともちょっと離れたことのようだ。
池田大作は、戦後読書に励み、『クリトン』『国家』『随想録』『神と国家』『代表的日本人』『人生論ノート』『言志四禄』『ゲーテ詩集』『種の起源』『英雄及英雄崇拝』などを読み漁ったという。(佐藤優「池田大作研究」アエラ連載中)――わたしはこれらの本を一冊も読んでいないので愕然とした。しかし、まだこれからやらねばならないことが一杯あるんだ、という思いにも駆られた。『イエス伝』が読み終えたら、『代表的日本人』を読むことに決めている。
いつか先生が本なんて読んでどうなるというのだ?というようなことを言われたのも覚えている。いわゆる旧制高校の「教養主義」では限界があるということなのだろう。「心の向き」が変わらねば。しかし、われわれはもう「(ヨルダン川の)水より上がった」のだから、あらゆる行為が無駄にはなるまいと思っている。「いだき」という磁石があるのだから!

 

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