心に広がる春の光景

びわ湖ホールでのコンサートに参加させていただき、ありがとうございました。
早めに会場に着いたので琵琶湖の畔を少し散策しました。ホールの大きな建物を抜けると、いきなり見渡す限りの大空と湖。空の青と湖水の碧。壮大なパノラマに、心はうわぁーと歓声を上げ、両手を広げて飛び立っていきそうでした。ふと、明るい風のような光のような動きを感じてその方角を見ると、高麗さんとスタッフの皆さんが集っていました。心に光が差し、同じ時に居られることを喜び、散策を続けました。大空にいだかれ、風の音、打ち寄せる波の音に心を寄せ、波間に浮かぶ水鳥たちを眺め、湖の遥か彼方を見ていると、ここは日本ではなくて、どこか大陸の風景に感じられてくるのでした。不意に心に広がっていく遠い懐かしさと微かな寂寥を感じながら、波立つ湖の動きと色合いをいつまでも眺めていたいと感じました。僅かな時間でしたが、この時の光景は今も深く胸に残り、輝いています。

コンサートでは「強い」というコンサートメッセージの中のお言葉が、今までになくクッと心に入り、先生の演奏を一心にお聴きしている中で、力強い存在が次第に体中に広がっていくのを感じました。ある瞬間、不意に龍の存在を身体の中に感じ、驚きました。その龍は天空を目指して真っ直ぐに、凄いスピードでぐんぐん昇って行き、私はその龍に導かれるようにして天空を目指しぐんぐん昇って行きました。胸にあった悲しさも、辛さも、様々な感情や思いは、天空を目指して上昇し疾走するスピードの中でどんどん浄められ、流した涙は光に変わってきらきらと煌めきながら空中へ飛び散って消えて行きました。コンサート前に眺めた琵琶湖の碧色の広がりと雄大な白い雲が広がる大空が、コンサート中もずっと共にあり続けてくれました。

今日は春のような一日でしたが、それは気温の温かさだけでなく私の心に初めて春の光景が広がっているからでした。悲しみが消え、喜びと安心と感謝に変化した心は未来を見通し、どんな困難をも乗り越えていける明るさと強さが生まれています。「「強い」人はどういう人か、簡単にへこたれない人。」と、コンサートメッセージのお言葉の中にありました。自分はちょっとやそっとではへこたれない、と思ってきましたが、泣きたいのをぐっと堪えて歯を食いしばっている辛い感じがついて回りました。今、そういうものが無くなり、心の中を春風が吹き抜けて、春の明るい日差しを受け、梅のつぼみがほころび、クロッカスが次々と草むらから顔をのぞかせるように、私の心にも光のつぼみが一つ二つ･･と顔をのぞかせほころんでいくようで笑みが生まれます。そういう中で未来を見通した明るい強さが生まれていることを感じています。

コンサート前の琵琶湖の散策も、そしてコンサート前にロビーで拝見しました高麗さんの新作の皮のマーブリングのブックカバーの美しさ、可憐さに触れた感動も、コンサートの経験と一つに溶けあい胸の中で輝いています。
本当にすばらしいコンサートを経験させていただき、心から感謝いたします。

日付は今日となりましたが15日の三鷹 風のホールでのコンサートに参加させていただきます。
武蔵野の地でのコンサートがとても楽しみです。どうぞよろしくお願いいたします。