大事に 生きる
昨夜のコンサートでは、目に見える色も輪郭も消え去り、周りと溶け込み瞼に浮かぶ光景は、いつ、どこで見たのでしょうか。山が見えます。山の里は懐かしく、あたたかく、心を揺さぶり、不思議な色に染まり空間と一つに溶け込んでいました。記憶からくる山間なのでしょうか。構えることなく、無防備に揺さぶられ、身を委ねられる感覚は、赤子のときの記憶なのでしょうか。不意に涙が込み上げます。いかにガチガチに身を固め、無駄に頭を張り巡らせて生きているか。呼吸すら息を詰めて生きているような、自分の状態がわかります。パイプオルガンは、神様の揺り籠のように、私の心を静かに揺さぶります。その心に、先生のピアノが光を照らし降り注ぎます。光に照らされ、まん丸く満ち足りた心でピアノの音は終わりました。歴史的と高麗さんが表現される言葉が、そのままありました。外に出れば、風がやさしく体を包み込み、大きな丸いお月様がかかっていました。先程見た山間が、今に蘇ります。大事に生きようと思います。いえ、生きなければなりません。またとない経験をこの度もいたしました。ありがとうございます。