KEIKO KOMA Webサロン

和歌表現に学ぶ


ほんとうにあっという間に時間が経ってしまい、美しい夕景も夜の闇に沈んでしまった。それでも通ってくる浪人生と、DV被害で不登校だった双子の姉妹のレッスンをし、書架の片付けと掃除、そして、これまで創った「言葉エクササイズ」のリストアップを少ししただけで。今日の授業は、「大江山生野の道の遠ければまだふみもみず天橋立」(百人一首60、小式部内侍)について、日本語表現の重層性をテーマにしたもの。わたしがいちばん伝えたかったことは、地名を読み込み、風景を描くことで、人間の内面(内包)と、自然の名称(外延)とが融合し、即興の智恵と同時に人情の機微をも表現してしまうことだ。小林秀雄も、「この歌を思い出すだけで、もはや現代のわたしの心を去ったと思われる旅情が蘇る」と書いている。(『考えるヒント』「天橋立」)こんな幽閉にも似た現在に「旅情」を味わうことも、内面を豊かに保つ秘訣かもしれない。――今日こそライブ配信で、「高麗恵子語り」を見ようと思っていたが、明日になってしまう。こんなに忙しいのなら、もう少し休校や外出自粛が長引いてもいいかと勝手なこと秘かに思いつつ。

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