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同僚の解雇通知


今、出向している学校では、非常勤講師は、毎年契約更新のための「採用試験」を受け、面接まで課せられる。(わたしは、それよりひどい「派遣教員」なので、そういうこともない。3月時の状況次第である。)そして、同僚の国語教師に昨日「解雇通知」が来たと打ち明けられた。かねてのかれの、学校の意図に反するような言動(受験教育批判や機器導入教育の反論など)が問題になったのか。とても生徒に人気のある、頭の良い人なのだが。ともあれ、学校が教員を大切に扱わないのは由々しきことだと思って腹だたしい。
わたしはいま、『未来への大分岐』(M・ガブリエル、M・ハート、P・メイソンと斎藤幸平の対談録)という本を読んでいて、「資本主義社会の終焉」の時代にあって、どう考え、どう行動すべきかの指標を得ているところだが、貨幣や実存や情報について、全く新しい視野を開き、全く新しい理念を創り、能動的に生きていくしかない、ということがよく分かり、もう呆然としているところ。いだきしん先生は、早くからこのことを言っておられたのだと思い返すばかり。「人間は自らを解放する運命の種」という言葉に感動している。
その同僚は、頭脳明晰で自尊心の強い人だが、批判や揶揄ばかりで、その不愉快な世の中を何とかしようとはしない。豪商の支援を受けて学問をしていた江戸時代の学者のようでもあり、冨者の余徳でもって、一隅を照らすのをよしとしている。もうそんな時代じゃないよ、といつも言ってるのであるが、慨嘆と怨嗟ばかりなのだ。だから、「解雇」もしかたない、とは言いたくないのだ。上記の本にもあったが、「非物質的生産」である教育活動こそいま重要な課題なのだから、より良い教育実践を目指さなければならない。「コモン」という民主的に共有され管理された社会的な富を形成していくために。教員を平気で解雇していくような世の中は間違っていると思うのだ。かれの「自己責任」と済ませたくない。

 

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