前に向かう力
昨日の朝、いつものように帰り際に母に声を掛けると「あそこには、もう行かない。あそこは最低」と云いました。「気持ちはわかるよ。でもそういうわけにはいかない」と母の言葉を受けながら一つ一つ話つつも、様々な母の思いが伝わってきました。「今、特別養護老人ホームに申し込んでいて順番待ちだから、もう少し待って」と言うと、「場所が変わるだけ。同じ渡り鳥の生活は嫌」「確かにそうかもしれない、だけど・・・」つい声が大きくなってしまいました。どうにもならない気持ちがこみ上げます。わかっていても、どうにもならないこともあるんだよ。それが現実である限り、思い通りなんかにならないんだよと、心の中で叫んでいました。93歳の母はベッドの上で「お前がそうやって強情を張るなら、もう何も言わない」と目を閉じました。「同じ過ごすなら嘆くのでなく、自分が少しでも楽しくなるようにやってみようよ」これが精一杯でした。自分を変える以外ないんだよと心の中で母に、自分に言う言葉はキリキリ痛くて堪りませんでした。帰宅後、疲れ切ったままベッドに横たわり、盛岡のコンサートの配信を聞いていました。突然、朝食の時に母が教えてくれた言葉が蘇りました。「卵を炒めながらオリーブオイルをちょっと垂らすのよ。そうすれば・・・」ハッと閃きました。そうだよ それだよ。リハビリ病院でも、母はお月見の団子の作り方を皆さんに教えてあげたと教えてくれたこと。先生が講座で、お年寄りの方たちの陶芸の話をしてくださったことが浮かびました。よぉし、私にはまだまだやれることがある。人間は生き甲斐が必要なんだ。誰かの役に立てること、今の母にはそれがないと見え、直ぐにケアマネージャーにメールを打ちました。あきらめてなんかいられないと、力が湧き起こる今です。前に向かう力を与えていただき、ありがとうございます。