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ニセコのチョコレート


夏休み一杯北海道へ旅行してきたという理科の教員が、講師室のみんなに土産の菓子を配って、わたしも一つもらった。何でも銘菓らしく、女性教員が歓声を挙げて喜んでいた。確かにおいしかったけれど、ちょっと嫌な気もした。
それは、かれがこういうふるまいをする下心が見え見えだったから。「予備校の職員なんかには、メールで済む用事も、電話しておけば、ことはスムーズに生き、多少の無理も通せる。」というようなことを、いつも口にしているし、60代になっても予備校で勤められている、自分の世渡り上手を誇っている点があって、あまり信頼できないからだ。ちょっとした気配りが大切なんだ、お菓子ひとつで会話が和むならいいではないか。そう硬いことを言わないで、まあ笑って済ませましょうや。――挨拶一つしない、世間話もしない、愛想もない、よりはずっとましかもしれないが、どこか人を見下したような、自分勝手すぎるような、軽佻軽薄のような、態度が見えて嫌なのだ。
「関係を創っていく」ということは、こういうことではなかろう。お土産は、その度に参加できなかった人への、その土地のスピリットのお裾分けが原義だろう。プレゼントは、下心がない支援の気持ちの具体化であろう。かれはわたしの大学の後輩。かれには「めざわりな存在」なのかもしれない。「なんせ、ボクの先輩ですからね。」と追従されるのも鬱陶しい。別に毛嫌いしているわけではないが。そして、だれとでも、新しい関係を構築していきたいと思っているが。チョコレートはおいしかった……。(9/2)

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