コンサートを終え
ひとりひとりの「いのちのはじまりの光」、こんなことが表現されるコンサートなんて、何てとんでもなく奇跡的なコンサートかと今振り返ります。しかし、どれほど「はじまりの光」を覆い隠しているのか演奏中寝入り、中休みの時もぐったりとしている自分にその覆いはかなりのものだと受けとめます。そして次の「愛は光」。私たちの中からの沢山の光が素粒子となり螺旋状に上昇して「大いなる」光の大河に交わり溶け込んでいくのを想像しました。私たちは、「大いなる存在」の光の大河から生まれたのかもしれないと感じるほど、皆が元はひとつと在る存在と思われ、壮大な宇宙のロマンに身をおいていたように感じられました。想像を遥かに超える体験です。コンサート前に本屋さんで手にした絵本がありました。戦場でのあるクリスマスイブの実話です。イギリス兵たちが塹壕(ざんごう)で銃を持ち、疲れはてながら敵を警戒して座っていると、敵のフランスの塹壕から「きよしこの夜」が聞こえます。そこでイギリス兵たちも歌い始め、その次には「もみの木」をお互い歌います。そして塹壕から一人が手を上げながら出てきてお互いに握手し、最後は敵同士が全員集い、食べ物を分かち衣服を丸めてボールを作りサッカーを始めます。しかし翌日にはまた戦場となりますが、この隊同士は弾を外して放ったりと殺し合うことはなかったと描かれてありました。目に涙をためながらページをめくり、最後まで読みました。人間心通わせば、お互い同じ生きている人間と改めてわかり合え、また心開けば争いはないのではないかと感じられる本でした。これで当時の戦争が終わったわけではありませんが、これが広がれば終わるはずと考え、それがコンサートの場と改めまして感じます。
ありがとうございました。
田嶋利江子