イノセンス
自分の存在は天与のものであって責任はとれない、取りようがない、というのが「イノセンス」(無罪)という心理だそうだ。だれでも手に負えない現実に直面すれば、こういう心理に傾くという。たしかに生まれたことに自分は責任はとれないけれど、やはり現実は受け止めて、「脱け出す道」をともに探っていくしかあるまい。地震や台風は、自分の責任ではもちろんないが、逃げていても仕方ない。「南海トラフの地震のことはあまりにも恐ろしいので、新聞やテレビでも見ないようにしている。」と話す同僚がいるので、そんなことを考えた。また、体操界のパワハラ問題でも、暴力は結局はイノセンス的動機によるものだと思う。言って聞かないのなら殴るしかないではないか。悪いのは相手であって、自分には責任がないというのだろう。
「情けは人の為ならず」を、親切にしたらかえってその人をダメにしてしまう、というような解釈が70%を越えるという。以前は、親切にするのは、自分のため(善因を積む行為)という意味だった。こうして敢えて他人とのかかわりを控えることが多い。これも責任を取らない言動だろう。
「やさしさ」となにか、を考えるより、「やさしい」行動をとることが優先されねばならない。「有罪」でもいいではないか。