やっと今、これから
雨降る朝、昨日はおそらく最後であろうCT検査を受けに、病院へと向かいました。何度受けても慣れることがない、造影剤の体の熱さに緊張します。来週、検査の結果を聞く予定ですが、卒業に向かっています。
その後、母のオムツや尿取りパッド等を買い込み、荷物を担ぐようにして雨の中を千葉へと向かいました。無我夢中でひたすら動く時、自分の内から体の力が湧き起ることをこの度も経験しました。荷物を届ける為に行きましたが、母のその後を尋ねると担当看護師さんが来てくださりました。今朝から尿管が外れたこと、手は動くので介助しながら食事をしていることを教えてくれました。不意に「お母様にお会いになりますか」と聞かれて、「いいんですか」と思わず看護師さんの顔を見つめると、黙って病室に案内してくれました。部屋に入ると、母は驚きの眼差しで私を見つめ「まさか来るとは思わなかった」と言います。特別に看護師さんが配慮してくれたことを伝えると、おもむろに「助けてもらった夢を見たの」と話しだします。『寒くて寒くて死ぬかと思った。声が枯れるほど大声で名前を呼んだの。横になって倒れていたら「こちらに入りなさい」って、見知らぬ女性が家の中に入れてくれたの。あたたかかったぁ』「生命助けてもらったね。皆んなに助けてもらってすごいね」「このことは絶対に忘れちゃいけない」真っ直ぐ私を見つめて話す母の瞳は、とても美しく光り輝いていました。こんなに嬉しいサプライズプレゼントをいただけるなんて、思いもしませんでした。更に言います。「車椅子で、おしっこしたいのにどうやってオムツ外していいか分からなかった」と。今、こうして表現しながら気づきました。先程まで尿取りパッドの追加をいつ届けようかと考えていましたが、母は近い日に自分でトイレに行くのだと分かりました。
人間とは、生きるとは、素晴らしいです。会う度に変わっていく母。私は小さい頃から、母のことが好きではありませんでした。いえ、むしろ母のようにはなりたくないと思っていました。感情的に直情型の母に対し、父似の私は感情を抑え調和を重んじ、真逆だったからです。ですが、今は違います。やっと今、真の母と向き合い、私も素直になれる時がきました。これからです。渋谷のコンサート前に会いに行ったら、母は更にどう変わっているのでしょうか。すべてに感謝する今です。ありがとうございます。