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「思考停止」から抜け出す


伊坂幸太郎の『魔王』を読んだ。不条理と不安と刹那主義の世の中、そこへ忍び込む全体主義的うねりに対して、何とか個人で立ち向かおうとした兄弟の物語だが、わたしの気に入ったのは、主人公がいつも「考えろ、考えろマクガイバー」と言うところである。ちょうど、今日の「死について」で、先生が、「とにかく物を分かって生きていない、考えて生きていない。」と言われていた。小説の主人公は、「理屈っぽい」と女性から批判され、恋人とも別れているのだが、ムッソリーニの殺害にまで鋭く考察して、なんとなく流されていく民衆を恐ろしいと感じている。今回のトルコの大震災でも、天災だから仕方がない、と思いきれないものがあった。地震で死のうが、病気で死のうが、死は死であろうし、簡単に思考停止になりたくなかった。だが、講座で、「人災の部分もある」とお聞きし、かつまた「陰謀」説についても考えねばと知り、かろうじて「考える」ことにとどまることができた。すると、すべてのことが解決の方向に向かうように思え、とても元気が出てきたのだ。明日死ぬ運命であっても、本を読もう!もっと勉強しよう!と、高校生みたいな気分になった。書架に、手塚富雄訳の『シッダルダ』があったので、取り出してみると、いつか丁寧に読んだと思われ、あちこちにマーカーの後があった。シッダルダが「書くことはよし、考うることはさらによし。」と言ってるところが見つかった。(『ファウスト』は、見つからなかったので、早速ネットで注文した。)いろいろ経済的に困窮しているが、前を向いて進んでいこう、という思いが、一段と強くなった。ありがとうございます。

 

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先生が淹れてくださいました。五女山の愛
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