「リスク・コミュニケーション」
危機に強い社会になるには、「インテリジェンス」(情報分析)、「ロジスティックス」(体制の確保)、「セキュリティー」(被害拡散防止)、そして、「リスクコミュニケーション」(話し合い)の四つが必要だと、日大教授の福田充氏が述べていた。(朝日新聞)なかでも、個人が考え意見を出し合い、「ここまですべき」と決める、民主主義の根幹が、まだできていないと警鐘を鳴らす。――ともかく「話し合う」ことが、まず第一歩ではないかと、わたしも思う。わあわあ騒ぐだけでなく、また、だれかの指示を欲しがったり、批判ばかりするのでなく、他者の意見を聞き、自分のそれとすり合わせる過程が!
もう何十年前、わたしが教員になりだしたとき、「教員会議」に出席して、驚いたことがある。それは校長の訓話であり、決まったことの連絡会でしかなかった。あるとき、原子力発電所の林立する若狭湾に臨海学舎を予定することへの疑問を発言したら、学校を上げての大騒ぎになり、ずいぶん批判されたり嫌われたりしたことを思い出す。いまの学校でも、コロナ禍での学校行事をどうするかについて、ほとんど生徒の意見は聞いていないようだ。生徒の時代から、「みんなで決める」経験を積むことが必要だと思う。
今日も、わたし自身の苦境脱出について、多くの人に電話して、意見を聞く。ろくに人の話を聞かず、方法論ばかりを出してくる人もいれば、「何とかしてやりたい」と、ともかく会って話ししよう、と言ってくれる人もいる。リスクを一人で抱え込まずに、とにかく相談してみたらいいのだ。