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 マウントをとる


腕時計が午前4時20分で止まってしまっている!電池切れなんだろうが、なにか動かなくなった状態を示唆しているようで、気が滅入る。しかたないから、トイレの掃除を念入りにしたり、食器を磨き上げたり、書類の整理や片づけに専念したりする。すると、今度は夢中にやりすぎて、疲れたのか頭がくらくらする。

双子の姉妹は、わたしとのレッスンを、とても大事に思い、秘密にしておきたいので、同じような境遇の知人に来てほしくないと言う。聞けば、「引き籠り」の人たちの間では、とかく「マウント」の取り合いになるとのこと。ちょっとでも、相手よりも優位でいたい、ほんとうは自分は偉いんだ、頭が良いのだと誇示したいらしいのだ。それを聴いて、まるで病院の待合室の会話のようで、病歴の披露のしあい、「不幸」の競い合いのようで、あきれてしまったが、よく考えると、そういう人たちは、そうでしか自分を保てないのではないか、と悲しくなる。公務員たちが肩書を誇り合う心理と同じで、くだらないことだが、精神的弱者にはそうも言えない。だから、双子の姉妹がわたしのことを教えた相手(彼女たちも矛盾しているのだが……)を、ともかく受けて止めてやろうと思った。――わたしは、今日一日自分にマウントが取れないでいるのだが……。(2022.4.2.)

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