自分のこと
迎賓館コンサートに参加させて頂きまして、心よりお礼申し上げます。ありがとうございます。この度ほど、自分の身勝手さが嫌と言うほど分かった事はありません。今の状況が、どういう状況なのか。また、その中で先生、高麗さんが行って下さっていることが、どういうことなのか。身をもって経験し、居た堪れない思いでコンサートの始まる前の30分を過ごしました。すべては自分の事であり、ただ受け止めるしかなくコンサートに臨ませて頂きました。衝撃的な一音が自分の身を貫いた時、目が覚めました。言葉ばかり先行し、結局は自分の身の回りの狭い世界しか見ておらず、分かった気でいました。お金の事も目先のケチな計算の頭で、いだきのことを捉えていた事も恥ずかしいことでした。後半の演奏中に、真正面にあるタペストリーを見上げると、一つ一つが、すべてが光輝き、あまりにも美しいその姿を見て、「私もそうありたい」と願いました。が、瞬時に「そうありたい」ではなく「そうなる」と決めました。更なる輝きを発する光は、私たち一人一人の輝く命の光です。この場に、今居させて頂けることを考えていました。奇跡でした。
演奏後に、急遽先生が淹れて下さった黒いコーヒーを一口頂いた時、身体中に喜びが駆け巡ります。と同時に、中庭から眺める光り輝く黄緑の木々、そよぐやさしい風が一体となります。この幸せを、どう活かしていくのか。これから、どう生きるのかを考える10分です。身勝手ながらも皆様のお陰で、出発時間より早く京都駅に到着する事ができました。申し訳ない思いで一杯ながらも、感謝の思いでおりました。人の少ない中、新幹線ホームにいらっしゃる駅の方から「ありがとうございます」と声をかけられ私も頭を下げる時、こうしてあらゆるところでインフラ整備のために、今まで通り働いて下さっている方々に感謝の思いがこみ上げます。今まで自分が働くオフィス街と、家の周りしか見ていなかったのですが、この度京都に行かせて頂いた事で、灰色のシャッターばかりで活気がないせいか薄寒く感じ、人の力は大きいと感じます。いつも過ごすホテルのラウンジに行けば、ロビーのソファには立ち入り禁止のテープが張り巡らせており、薄暗いロビーが更に陰鬱に冷たく感じます。同じホテルでも、例え人影がなくても明るいホテルとの差に驚きます。自分を含め、何もかもあからさまに見えてしまう今です。自分を一つ一つ変えていきます。