玄という

雲ひとつない青空を背景に、そびえるイチョウの黄衣をまとった凛々しい姿に感動します。そこに何百年も立ち続け、人間の姿を見てこられたのですからすごい存在です。

昨日は府中の森でのコンサートをありがとうございました。身体の内に玄があり、その玄に先生のピアノの音が届き、呼応し拓かれていく。先生のピアノの音はなぜこんなに身体に響くのだろうかといつも不思議な思いをいだいていました。唯一無二で特別なのはわかっています。音は身体中にも満ちあふれ、深いところに確かに届いていて、高麗さんのお言葉をお借りすると、その瞬間全身が安堵するのです。受容の瞬間瞬間です。私の内の玄に、ピアノという弦をもつ楽器が先生を通して届いた感覚です。ギターも三味線も箏も弦を持つ楽器。人はわかって楽器を作ったのかと不思議な気持ちです。頭で考えたことではなく一瞬でそんなことを体感したコンサートでした。二部の天空というメッセージにも心躍ります。天という字が好きで、お習字の時は紙に天、天、天と書き続けていました。なんとなく上にあるものと思っていましたが、天空は、空間そのものを成立させている原理とメッセージにありました。まだ腹落ちできておりませんが、天空拓くとき、新しい人間が生きられる空間が生まれ、皆が助かるイメージがあります。

ようやくやりたくないことははっきりしてきました。どうせ苦労するならやりたくないことで苦労するのは人生の無駄だなと。やめれば良いとよく先生がおっしゃいますが、やりたくないならやめれば良いのだと思います。乗り換え駅で、江戸を感じる外堀と青空の風景、広がる空間と澄んだ空気。昨日とは違う一日をまことにありがとうございます。後藤美香