愛に生かされて
1月2日、ロームシアターでのコンサートに参加させて頂きまして、ありがとうございました。
会場に到着した時には、すでに長蛇の列が出来ていて、活気と熱気にあふれる空間が生まれていました。それは町中の商業施設の混雑や行列とは全く次元の異なる、新しい空間でした。未だ会場前の外の廊下でしたが、列の中の一人となって皆さんと開場を待っている時の、あの温かい感じ、町中の雑踏では決して感じることのない温もり、楽しさ、エネルギーを全身で感じていました。その中に居ることの尊さというのか、共にいだきを受講して、共に今生きていることの、人と人のいのちの交流、触れ合うことの温もりを感じていました。あたりまえに思ってしまうことの中に、空気のようにさりげなくあるためにそのまま流れ去ってしまうことの中に、どれほど人間にとって尊い、しかも無くては生きていけないほどのことが、たくさんたくさん詰まっていることでしょうか。そして今までどれほど、そういう尊い宝を失うようにして生きてしまったことでしょう。私はこういう失ってきてしまった宝を新しく見つけ、そして表現して、ひとつひとつ新しく命を吹き込んで甦らせて行きたいです。
先生の演奏は最初の一音から圧倒され、音がシンフォニーのように重層的に多重的に鳴り響き、体中を駆け巡りました。私でありながら、別の次元にいて、静かに深くひたすらに聴き入っている何かがこの身体の裡にあることを感じ続けていました。先生の音と共にあり、共に生き、みんなと共に生きていました。それはコンサートの時間だけではなく、実は生きていることそのことが、いつもずっと共にあることなのだと、誰ともなくこの身体の裡から言葉になって生まれてきます。先生のピアノの音は体中を駆け巡り、鳴り響き、ずっと生命の奥にあって分かっていることを、ノックし続けるようにして、呼び覚まし続けてくださいます。人間が人間に成っていくのは、知識でも努力でも成り得ず、ただただ愛を経験することで、自らの裡にある愛が息を吹き返し、芽吹き、新芽から若木となり、すくすくと力強く育っていく、それより無いのだと、最近はコンサートに参加する度に揺ぎなくそう確信するのです。
コンサートも終盤に差し掛かった或る時、先生は始めから…どの位遡ればよいのか分からない程、気の遠くなるような始めの始めの更にその前から、こうしてずっとピアノを弾き続けてくださっているのだ…と閃くように分かる瞬間がありました。生命の奥の奥から泣いていました。
愛のフィールド。第二部のコンサートメッセージの言葉から、開演前の温もりに満ちた行列の空間が心によみがえります。あの熱気と活気、楽しさ、華やかさは、愛に満ちているからこそ生まれ、新しい時代と新しい創造は、愛に満ちた人間同士の関係から生まれてくるのだと分かるのです。そして私自身も紛れもなく愛のフィールドに生きる一人であることを、否定することも打ち消すこともなく、自然に、心身丸ごとで受け入れるのです。心は深く安堵し、やさしい、広い、温かい気持ちに満ちます。
両国国技館でのコンサートに参加させて頂いたのは、受講して間もない頃でした。愛のフィールドという言葉の何であるかも分からないままに、それでも、ただただ生命の奥からの有無を言わせぬほどの強い促しのままにコンサートに参加していました。
愛によって命助けられ、支えられ、育まれ、導かれて、今の私があります。そして今再び、愛のフィールドという言葉に巡りあい、実はずっと愛のフィールドの只中にいて生かされていたことに気づくのです。
1年のスタートを、とても表現しきれない、無限の愛の経験の連続で迎えられますことを心から感謝いたします。この経験を深く生かしていける1年にしていきます。ありがとうございます。