新たな視界
新たな視界にはこれまでは見えなかった帆が風を受けてグングン進んでいきます。まっとうな『辛い目』に遭っていないと人はどんどん間の抜けた締まりのない生き物になり、それはどんなに優しさや穏やかさに似たニスを上塗りしても、むしろすればするほど、その研ぎ澄まされていない愚鈍で半端な肉塊がごまかされきれずに世を蝕んでいき、そのいやらしさの発する生肉が腐るような悪臭があまりに酷いので、辛いことがあって良かったんだと、表面しか見ることの出来ない愚かな人間になる機会を一つ失ったことへ胸を撫で下ろす初めての経験をしたのでした。マーブリングのカーテンが天と地を繋ぎ、ぶれない軸が生まれた大地に街路樹の緑が喜んでいる姿を、沢山のコンサートで鍛えたいのちの内面が感じ取ります。この感覚無しで前に進もうと足掻いても全くの無駄で、前どころか逆に進んでいたことを良くわかりました。成長していけることに感謝ばかりが湧き上がります。