透明な列車

離れた場所にいながら、配信で銀河鉄道の列車に乗せていただき恐縮です。昨夜はありがとうございました。演奏中ずっと体内から鼻を通って風が通り抜けるようにして何かが空間に溶けていく不思議な感覚を覚えました。普段、どれだけ息を詰めて生きてるんだと思います。また、第二部のアナウンス「普段、頭脳中心で感性に乏しい方にとっては、多少頭が痛いかもしれません。」をお聞きし、そうなったらやだなあ、と危惧していました。第二部後半、急に頭痛がしてきました。すると頭が心臓をず〜っと押さえつけている感覚を覚え、これじゃ本来の命のままに生きることなんて無理だったなあ、と自覚しました。演奏の終わり頃になって、一瞬それが逆転しました。「心臓」から「頭へ」流れていく何か！それはとても心地よく自由で幸せな、初めての感覚でした。このようにして生きることがどれだけすごいことか・・・言葉では言い表せません。先生にしかできない偉業と感謝します。ところで仕事柄、よく賢治さんの「銀河鉄道の夜」に親しんでおりますが、その鉄道列車は軽便鉄道と言われるもので本来は小さな列車ですが、現在ではアニメの影響もあってか黒い蒸気機関車のイメージで捉えられています。しかし、先生の銀河鉄道列車は、美しい、どこまでも透明な乗り物でした。そのような映像が心に浮かんできたとき、驚きながらもそうだよなあ、とまた感心し、その美しい車内から宇宙を旅させていただきました。先日事故が起きたタイタニック号を見にいくツアーの費用は一人３５００万円だそうですが、昨夜の旅は本来ならば１億円以上の価値があると本気で思いました。誰でも参加できる料金で、ここまでしていただいて・・・先生に申し訳ない！と思いました。アンコールで手拍子しながら嬉し泣きする自分。生まれて来なきゃよかったなあ、と子供の頃から思って生きていますが、多分初めて「生まれてきてよかった」と心底思えました。ありがとうございます。心からありがとうございます。