魂の存在
府中の森芸術劇場にて、連日に渡るコンサートをありがとうございます。
我々の遺伝子にまで刻まれたような運命の糸が紐解けていき、そこには真に豊かな宇宙よりも広大で無限の可能性に満ちた内面の世界がありました。
自らの内にある宇宙はあらゆる知能や情動に働きかけ、そのエネルギーは無限の創造となるのだと分かりました。
この身が宇宙に投げ出されたら、足をつける地もなく、全く支配の及ばない空間は恐怖だと思い込んでいましたが、それは内面に在る世界を度外視しているから恐怖という観念になってしまい、この身の内に時空を超えた宇宙があれば、それは無限の創造性となり、自らの意志で未来を創造していく大いなる力となっていくのだと確信しています。
これほど美しい光が自分の内にあることを経験していながら、外ではその存在を無いが如くに粗末にしてしまう自分の姿を改めて顧みました。
人間社会での窮乏化は人として大切な存在の世界を遠ざけ、忘れさせてしまいます。
この現象的な問題から始まる精神の危機をどうしていくかは、自分自身が存在と共に生き考えていくことよりないと身を以て感じているところです。
先生からは常々、自分の生きる姿勢を決めるようおっしゃっていただいて、その度自分はただ頭を下げるよりありませんでした。
生きていて先が見えず、暗黒の中で溺れそうになりながら人生で一番大切なものを失くしてしまったような猛烈な悲しみに襲われる時、それは自分の内側に在る光を見失うように生きている自らの有り様に頽落していることを深く自覚し、改めていきます。
夜空の月を見ると、まるで血に染まったような不気味な姿に背筋が凍るような恐怖を感じました。
血走り濁った目玉が恨めしそうに地上を睨んでいるように見え、その目玉とずっと目を合わせていると、やがて闇の中で瞼を閉じるようにその姿は消え、また現れた時には澄んだ光を放つ透き通った姿に変わり、ホッと胸を撫で下ろします。
貴重なコンサートの機会を誠にありがとうございました。