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身体の裡から生まれる物語


23日の府中コンサートでは、椅子に座ったまま体が宙に浮いているのではないかと感じ、そのまま先生の演奏の只中に溶け込んでいて時間というものを忘れていました。拍手の音で演奏が終わったことに気がつき、遠い宇宙から戻ってきたように感じました。
重力の無い世界、大きな大きな宇宙の只中に居ました。普段身近に触れている自然の、日ごとに違う美しさや、子供の頃に自然にいだかれて生き生きと過ごした記憶が、一つに溶け合って輝いていました。新緑の色をした風が吹いてきて、その風の中に先生の演奏される一音一音がラインストーンのように光を受けて煌めいていました。壮大な星空までも見えてきて、それはこの世には存在しない星空でした。そこに輝いている星々には秘密の配置があって、私達地球人に何か信号を送ってきているようでした。子供の頃、星空を見上げることや、見知らぬ星々や惑星についての本を読んで、想像を巡らすことが好きだったことを不意に思い出しました。

コンサートのあいだ中、身体の裡でずっと何かが物語られている・・、そういう感じがあり続けました。言葉にならない、言葉以前の何かが語られ続けている・・とでも言うのでしょうか、それはとても好ましい感じで、身体とぴったり一致しています。こういうのがそのまま詩になったり物語になったりしたら、どんなに素晴らしいでしょう。
コンサートに参加して先生の演奏をお聞きしている・・そういう既存の言葉で表そうとすることが全て取っ払われて、とてつもなく偉大な何かにいだかれっぱなしに生きている。それはひとつの物語であり、物語を生きることが生きることです。
みんな一人一人、それぞれ物語を生きている、それに目覚め、それを現し、一人一人の物語が全て表に顕れたら、地球は素晴らしい星になると思いました。

どうしても行きたくなって参加した府中のコンサートです。尊い経験を戴いてありがとうございます。
毎朝通る井の頭公園では、桜の季節のあと、ぐいぐい若葉が芽吹いてきて、冬の青空が透けて見えていた裸の木々の梢は、今では緑のトンネルになって、歩道に爽やかな木陰をつくるようになりました。いつの間にこれだけ伸びたのかと驚きます。早くも初夏の香りまでしてきて、自然のエネルギーはすごいと毎日圧倒されるし喜びも感じます。
地球に生きていることがあたりまえになっていますが、それは決してあたりまえではなく、得難い一つの星に生かされていることに気がつきます。
広大な宇宙の懐にいだかれて、身近な自然と一緒に、私も太陽に向かって毎日伸びていきます。

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