蘇ること
無我夢中で仕事をしている時は、体調が悪いという意識すらなく集中しますが、いざ休みに入ると何となく喉の調子が悪く、体温計で測ると37度でした。疲れが出たのかと思いつつ、TVをつけたらサイレント肺炎についての説明で、思わず見入りながら突然不安に陥りました。そんな折、先生、高麗さんのライブ配信やオンデマンドがあります事、本当にありがたいです。
昨日の「いだき」で演奏して下さったピアノの一音一音が、こんなにも自分の体の内に響き渡るものかと、染み入るやさしさに感謝しかありません。古代ローマの歌声は、まるで自分も歌っているかのように、肺の中の空気が頭を抜けて響き渡る美しい音声を経験しました。人生の喜びです。
北海道での先生の仕事の話をお聴きしながら、先日話した事を思い出していました。数字を出せる人が一番であると、数字を出す人は出せない人に対して非難しがちであります。ですが、支えてくれる人がいるから数字を出せるのであって、全体があるからこその結果であります。一人一人の力があってこそ、好結果に繋がることを忘れると、上から目線の身勝手な提案になると話していました。その上で何をすべきかを考えていました。「自分なら、どうやるか考えてください」先生の言葉で、以前に先生のコンサートで訪れたイタリアでの光景が蘇りました。寒い夜、人気店の外で待つ長蛇のお客さんが並んでいました。マネージャーらしき男性は、一人一人に声をかけていました。広い店内には天井にランプがあり、一目で注文状況が分かる仕組みの中、そのマネージャーはボールペン一本で指図をして、注文状況を捌いていました。更に、注文が通っていなかった私たちに対しての対応も、茶目っ気たっぷりでお見事です。人気がある所以を見ました。また、街中のピザ屋のおじさんは、ギンガムチェックのテーブルクロスを嬉しそうに広げます。ご自慢の焼きあがったピザを運んできた、あの笑顔が蘇ります。そういう瞬間を見つけるのが大好きだったのに、いつの間にか目の前の事だけになってしまっている自分に気づきます。「自分の気持ちを活かして、もうちょっと視野を広げて、アイデアはメモして」先生の最後の言葉に、胸熱く涙が滲みます。自分は、何に心が動き、大事にしたいことは何なのか。問われ、思い出し、考える時間です。オンデマンドで繰り返し聴かせて頂けることに感謝します。ありがとうございます。