育つ
今日は、昨日の狛江での経験を書き込みします。
生のピアノの音がどこまでもどこまでも奥底の私の胸に、これ以上ない程の澄んだ音色で届きました。この澄んで透明な音が届くのはどこまで奥なんだろうということと、私の内面はどこまで深いところまであるんだろうと心地よいままに進みます。澄んだ音色は光の矢の如く胸に届くと同時に、固まった身に優しく光が届いてほぐれます。コンサートで明らかになるその本当の善い体の状態が心地よく、″今日も苦しい胸をかかえながらこの一席まで来てしまった″ことに気付きます。ひとつ前までのコンサートで最上級のよい身体の状態を知りえた!と思って、それからの日々をその状態を基準に生きてみても、新しいコンサートで経験するのは、もっと新しく善い身体の状態です。バージョンアップはどこまでも続いていけることによろこびが生まれます。時代が変わる只中にいるとはこういうことなのだろうと身に感じています。ひとつ前のコンサートのことだけで生きていても新しい時代となった時にはあまりに不足することが多すぎて、時代が変わるスピードが日一日どころではないのかもしれないな、という今にいることがとてもたのしいです。
応用コースにて、疎外のことをお聞きしました。先生は、今までの資本主義体制の中で愛を実現することはできないこと。そして「外に出た観念によって動かされてゆくことは、自分の感覚はどんどんなくなっていくんだよ」と言いました。以下は私の表現ですが、ひとりひとりから出た観念がひとり歩きをするようにして、観念が出て空っぽになった一人一人をひきずるようにして在る、その疎外という状態をお話くださっていました。
ここから先の表現は私が経験したことで、先生がお話されていた言葉ではないのですが、応用コースのお話の中で私の身に起こっていたことは、先生に出会えたひとりひとりは、もっと先生とそして先生とひとつに在る存在と共に生きることが大切なのではないのかということです。この世の家族とか大事に思っている人はいても、そこからはじまる人生は多分上手くいかない。と自分の在り様を想いました。幼い頃は、広い世界を生きていても、歳を重ねるごとに、自分の家族とか目に見えて一番近くにいる人との人間関係を守ることより見えなくなっていき、広いトータルな世界で生きることを断ち切りながら視野の狭い人間となった自らの人生をも考えていました。全体的な世界からすると、この世の人間関係はとても部分的なことで、その小さい枠組みを超えないと何もかも上手くいかないような気がします。そこで、本質的で全体的な世界とひとつに在ることを優先的にはじめられれば、そこに包括されている人が本当に大切で一緒に生きる人であれば全体的な世界で共に良い関係で生きられるのではないか、と。
その時私は、かぐや姫のお話は何か今の時を暗に示しているようで、おもしろいなと想っていました。もしも彼女が今の時代で愛を経験できていたら、あのお話はどうなっていたのかな…、と。彼女にも育ての親はいてその人たちのことがいくら大切でも、いつも彼女の心にあるのは、それらの人間関係よりももっと本質的でつながりの深い月という世界でした。どうしたって彼女の中心から失われることなどないその月の世界に例えられている世界とこの世はあまりにもかけ離れ救いようが無いほどの人間たちの生き方であったので、帰るよりなかったのではないか、と。きっと時代の先端が切り拓かれている今であったなら、あの物語の続きは違う展開となっていたように想います。今を生きる若い人たちも少なからずこの今までの世の中で生きる場を見出せず、苦しんでいることも多いと感じます。しかし、今の時の真に本質的でそして全体的な世界を生きることができれば、そしてそこに生きる人と生きることができれば、今までにない程、幸せに輝き生きていけるのではないでしょうか。
ここまでを言葉にするととても長くなってしまいますが、これらの事はほとんど瞬間的な出来事でした。
コンサートと応用コースの経験を経て、もうずっと長い間、私のテーマとなっていることについて初めて見出せたことがあります。〈親を超える〉ということについてです。私が今まで考えてきたことは、私が自分の人生で親よりも多くの何かを為すとか、この世での出来高でしか親を超えるということについて見えていなかったのだと気付きました。とても部分的な考えであったので、いつまでも超えることは不可能に見え、もがき苦しんでいたのは当たり前のことだったのだと微笑みが生まれます。超えるとは、どちらの方が上とか下とかという縦の世界だけの事ではなく、横もあったのだ!ということです。その枠組みを横方向にも、そして多方向にも超えられるというのが先生とひとつに働いている存在と生きるということであったのか、と新たな生命を得たように未来広がる今です。ありがとうございます。
明日からの連続コンサートに参加できます機会を最大に活かします。