祝福の時
5月の風に吹かれ、お茶室に向かう時から生命喜びあふれ、道端に咲く野の花に語りかけ、摘ませていただき、お茶室に生けさせていただきました。今日も、お花を生けることからはじまります。自然の生命の流れと、人間が創った型は違うことをお花を生けているとよくわかります。花が語るように生けられると、空間が光り輝きます。普通では人をおもてなしする空間とはならないことを身をもって経験でき、とても充実した時を過ごせます。準備中、鳥が盛んに鳴いています。お祝いをしてくれていると感じ、喜び生まれます。皆様が到着する時が近づくと、ドキドキしてきます。車が到着し、美しいお着物姿の方々が現れると、空間は一変に華やかになります。
今日は、お茶室にて私が話すと、鳥が相づちを打ってくれるのです。そのタイミングの見事さと相づちの正確さに、驚き、畏れ入ります。お茶室は山の斜面に創りましたので、窓から山が見えます。鳥との会話をご参加者と楽しんでいると、そのうち、窓の向こうに鹿が現れました。子鹿も来て、あっという間に5頭も鹿が集い、真正面に来ては挨拶をするようにし、現れ、立ち去るのです。今日は鹿までお祝いに来てくれているのだと感じ、とてもうれしいサプライズプレゼントを頂きました。いくつかのグルーブに分かれていただき、お茶室の為に先生が特別に焙煎してくださったコーヒーを高麗風に淹れさせていただきます。ここでより飲めないコーヒーです。他には一切お出ししていないのです。極上をこえ、この世のものとは思えないお味です。今日も今まで生きてきて良かったと涙を流される方ばかりでした。ここで頂くコーヒーは、ここでより経験できない至福感に満ちあふれ、生まれてきた意味を実現する人生を生きていくことがはじまります。凄い場であります。折しも、13日、14日の「高句麗伝説」を経験した直後です。人生決まり、となることは当然のことと考えます。
今日は、ご参加者と広間でお茶会会席を頂きました。更に、先生がお茶室用に焙煎してくださった他のスペシャルコーヒーを先生自ら淹れて下さいました。最後に先生から大変尊いお話を聞かせていただきました。日本人の礼儀はエネルギーが出てくるとのお話でした。形式的にしていると、ギックリ腰になるけれど、深くお辞儀をすることはエネルギーが湧いてくるとのお話に真に力が湧いてきました。礼儀を学び、身につけていけるにはお茶室での経験が最高です。比叡山のお茶室に入ると、別次元、別世界、別空間であることの所以もわかるお話です。加えてここは先生がおられますので、他にはない空間です。宇宙空間のようだと感じます。今日も宇宙に行ったことはないけれど、と話ながら、世にない無限な世界を感じられる空間を宇宙空間と表現したくなります。ここに居ると、人生を考え、真の自分を実現することが当たり前と感じます。自然と礼儀正しくなります。以前の京都での応用コースにて、このお茶室のにじり口を入ったら、元に戻ることはできない恐ろしい場所とのお話がありました。未知なる未来に向かい、先へ行くよりないのです。日本の文化の素晴らしさに加え、先生がおられる空間となっていますので、世界でここでよりない特別な場であります。
皆様がお帰りの時に玄関を出れば、美しい満月が顔を出し、お見送りして下さいます。自然の生命が共にあり、祝福してくれています。全てにおいてドラマチックなお茶室での経験です。会が終わり、5月の風に吹かれ、夜道を歩く時の心地良いことに感動します。ありがとうございます。