白い三日月
昨日、迎賓館コンサートで着物を着る為、原宿の美容室に行きました。新型肺炎の影響でしょうか、いつもは通り抜けるのも混雑で大変な竹下通りは、比較的スムーズに歩けました。
髪の毛のセットを打ち合わせしていたら、突然すべてが虚しくなり、胸が塞がれてしまったかのようでした。なぜかは分かりませんが、「皆んな、人生を考えているのだろうか。どうやって人は、生きているのか」と、口に出して昔から知り合いの美容師さんに問いかけていました。あまりの不意な問いに、彼は首を傾げ「考えていないんじゃないかな」と呟きます。
塞がれた胸のまま店を出ると、見えるものが様変わりしていて驚きました。店先のもの、歩く人々、何もかもが色褪せて見えるのです。セピア色に映る街中を歩く中、ふっと見上げれば夜空に白い三日月がかかっています。その月だけが妙に眩しく輝きを放っています。どちらが現であるか、竹下通りを歩きながら考える昨夜でした。
早朝の雨降る中、京都に向かいながら、今日という日は世界が変わる日になるのではないかと予感がします。いつも先生のコンサートは、大きく変わる働きをして下さいますが、いだきの始まりの日であります。昨夜の白い三日月が心にある今、心して向かいます。宜しくお願いします。