渋谷コンサート– 胎動、そして誕生

開演を待つ間中、胸がときめいていました。先生の演奏をお聴きしていると、ロマンに溢れた世界、とても深くて哲学的と感じた世界がどんどん広がっていきました。雑念が浮かぶと、頭が痛くなり、そして消えていきます。表現してくださる世界はどんどん深まり、怖くなるほどに深かったです。そのうちにすごいスピードで駆け抜けていく体感がありました。私は馬に乗ったことはありませんが、馬に乗って駆け抜けるとはこんなに気持ちの良いものなのかと感じる状態でした。モンゴルで風を切って馬で駆け抜けていらっしゃる高麗さんのお姿が見えるようでした。そのスピードを身につけようと集中して演奏をお聴きしていました。

第二部では、先生のこの上ない迫力で力強いピアノから、何かが生まれていく動きを感じました。胎動とはこの状態でしょうか。凄まじいエネルギーに包まれ、汗が流れていきます。そしてピアノの音が天に届いたと感じた瞬間があり、さらに天を突き抜けていきました。「祝福」という言葉が生まれてきたのは、素晴らしい何かがこの地に生まれたのでしょうか。何かが始まったと感じ、身震いするほどでした。何が始まったのか、今は分からないのですが、人類にとってとても素晴らしい何かと感じています。

感動のコンサートを経験させていただき、ありがとうございます。

五十嵐泰子