水鏡
先生、お誕生日おめでとうございます。ブルーグレーの雲が広がる静かな、ひんやりとした空間に鳥の囀りが響き渡る落ち着いた朝を迎えています。昨日から朝方にかけて、亡き父の夢を見ました。2011年に亡くなってから、父が夢に出てくることは久し振りです。然も二つの夢です。一つは、父の顔も姿形も瓜二つの人ですが、まるで異なる人で「偽物は出て行け!」と、大声で私が怒鳴っている夢です。二つ目は、「掃除の分担をして、午後から家族三人で公園に出かけよう」と提案し、布団から起きて動き始める夢です。いそいそと動き出すいつもの家族の姿に安堵し、なぜか今日これから向かう弘前と重なります。昨年6月に病名を告知される前から私はなぜか覚悟をしており、5月13日の弘前での高句麗伝説の前に立ち寄った、弘前公園のお濠に映る水鏡を静かに眺めていました。美しい夕日と水鏡の木々が揺らめく姿は、恐ろしい程静寂の中にありながら私の心を映していました。何かを決心するとか意図的なものは何一つなく、すっと立ち上がり会場に向かったことを覚えています。今日、再び弘前に向かうことができますことに感謝いたします。ありがとうございます。高句麗伝説、よろしくお願いします。