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比翼


第1部が終わった時、時のない世界と言葉になりました。先生の演奏は確かに聞こえ、音は身体にダイレクトに響き、反応しているのに、いつもなら大抵わかる、演奏の終わりに気付く事がなく、終わってハッとしたのでした。今がコンサートである事も瞬時には思い出す事ができません。でも、眠っていたわけでもないのです。こういう状態ははじめてでした。第1部は不思議な空間に身を置いているようでした。

どれ程たつのでしょうか。まだまだ奥にしまわれている事が、ある方に心を向けた事をきっかけに現れました。いつもはそれほど激しい感情にまで展開していかず、表面に触れた程で終わっていくのですが、奥にまで触れてしまい、動き出した感情は止まりません。感情の渦の中、涙はマスクに吸収されていきました。その中でもある時、ある方向性を示される映像が見えて来ました。
大空を移動していく鳥が見えます。この鳥は時空をこえて存在しながらひとつなのです。漢文の授業の時に読んだ詩が思い出されましたが、片方の翼は既にこの世にはなく、それでも鳥は大空間を優美に舞います。そういう在り方があるのかはわかりませんが、そう見えてしまいました。乗り越えられない壁は乗り越えてはいないのですが、アンコールの頃には、落ち着きました。奥に仕舞い込んでいても解決はなく、現れてこそ、そこから何かになっていくと受けとめます。東北で先生が、悲しいのはなぜ悲しいのか、ちゃんとわかっていかないと。と仰った言葉は、いつも課題としてあります。
まだまだ続く6月のコンサート、今日も向かいます。解決の時を迎えられる日が近い事を願って。

本日のコンサートも、どうぞよろしくお願いいたします。

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高麗恵子スカイロケットセンターにて-1
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