桜の花びら
比叡山で迎えた朝、窓を開けると、大きな桜の木が心に飛び込み、桜の花が咲いていたことがとてもうれしく感じました。桜の花びらが舞う道を迎賓館に向かいます。先生の奥様、晴美様と桜の花は重なります。お亡くなりになる数日前、アポイントメントで東京の郊外の地に行っている時、先生からお電話をいただき、今どこにいるのか、と尋ねられた時に、目に前には桜の花が咲き誇る風景が広がっていました。桜の木の下で先生と電話でお話させていただいたあの場面はずっと心に在り続け、今でもよく思い出すのです。その時の先生のお声が忘れられないのです。4月19日の出来事により、その時の先生のお声が語っていたことがつながったのでした。忘れられない日であり、人間とし忘れてはならない日であります4月19日、今年は迎賓館にて桜の花びらが舞い、路面が桜色に染まる中をロシアからのエレナさんはじめ、ご家族をお迎えさせていただきました。3月11日の東日本大震災が起こった日であり結工房一周年記念の日に、結工房にエレナさんがお越しくださり、体の具合が悪い私の髪を結ってくださったのでした。何かの話で今日の日のことと、京都での「高句麗伝説」はご経験してからロシアへお帰りになってほしい気持ちになり、エレナさんも望んでおられたので、ご招待させていただくことになりました。お着物のマーブリングは、比叡山のマーブリング制作場にて初めてさせていただいたのはエレナさんのお着物でした。スタッフが、間に合うように、創って下さいました。エレナさん、お母様、お子様皆様がマーブリングの衣装を喜び身につけてくださり、お越しくださった皆様と喜び合い、大家族のぬくもりあふれる迎賓館でした。皆様からもお花をお贈りいただき、ありがとうございます。
先生のお話をお聞きし、俺たちが何をしたか。。。とのお言葉がずっと心にあり続けました。人間とは何かを探求し、愛を探求し答えを見いだし、晴美さんとの関係は何も問題はなくなった時に、体に襲いかかるエネルギーにより倒されたことをこの一言に表され、胸の奥深くにまで届きました。その後の演奏をお聴きしている時、この一言の意味が生命に沁みてきました。当時、人や社会の歪み、汚れ、重荷を身につけ、倒されるお姿を目の当たりにした私は、世の中の不合理なこと、理不尽なことにやりきれない思いで一杯でした。何処にも持って行きようのない苦しみ、辛さに涙することが続きました。涙を流す間があることもやりきれなく、人間とはどうにもならない存在かもしれないと、行き場がない苦しみにありました。晴美さんはどんなにお具合が悪くてもいつも穏やかで心静かであり、にこにこと微笑んでおられました。体のしんどいことを嘆くこともなく、誰のせいにすることもなく、何かに苦しみをぶつけることもなく、そのまま在るというお姿が先生の演奏からそのまま思い出し、「俺たちがなにをしたのか」とおっしゃるよりない生き方であったと身に沁みわかります。この事実を受け止める時、心臓の奥深くは涙よりないのです。先生の生き様、在る状態をそのまま感じ、晴美さんの状態と全くひとつであることに畏怖を感じ、胸震え、心臓の奥深くが動きました。おおいなる存在あらわる音の連続に、魂揺さぶられ、深い感動の連続に、全身震え、躍動し、「生きる」ことの意味に目覚めました。先生、晴美さんの生きてこられた状態を目の当たりにし、その場を共にした人間とし、経験を無視するような生き方は許されることではなく、経験した人間とし生きる責任があると甚く感じました。経験した人間は、経験したことを身につけ生きる事が人間としての在り方であると身に沁みました。先生が生命賭け表現してくださるコンサートの経験も、経験した人間とし生きることが人間であります。経験するということ、生きる事の意味が身をもってわかり、大感動をもって迎賓館コンサートは終わりました。世界を駆ける時と生命をもってわかりました。
エレナさんのお母様は、地球から光が注がれ、生命の内の隅々まで、細胞のひとつひとつまで光のエネルギーが注がれたと大変感動し、喜んでおられました。エレナさんも初めて涙が流れたと感動しておられました。先生の演奏は本当に海外の方はよくわかります。日本でずっと行っていることを最近は、考えます。わかる人に会うことが平和への早道であるとはたくさんのはたらきかけから考えるところであります。
エレナさんご家族をお茶室にお招きさせていただきました。大変喜んでいただきました。先生と私がお茶室に着くと、うぐいすが大変立派で美しい大きな声で「ホーホケキョ」と鳴いて迎えてくれました。それも何度も鳴く声は山にこだまし、自然の生命が共鳴し、今日のこの日を共にしたことを伝えていました。全てが終わり、外へ出ると、真正面に満月が輝き、微笑み、ご挨拶をしてくれました。雲が風に揺れ、満月の光と風が交わり、歴史の大ロマンを表す光景が顕れました。
比叡山に迎賓館、お茶室が創られ、海外からのお客様をお招きさせていただく環境は完璧となり、全てはこれからです。京都「高句麗伝説」もすでに始まりました。気を抜いてはいけないと気づく現象も起こり、心静かにと努め、備えます。明日は京都事務所にて午後4時半からビデオ講演会をさせていただきます。ありがとうございます。