未来に投資
久しぶりに応用コースをオンデマンドで視聴させていただきました。
今年の1月に30歳になり、自分にとっても節目だったので、とてもいい経験ができたと思います。
他にもお話があったと思いますが、MMTについての話がとても興味深く、自分でも調べてみました。ネット記事で『中野剛志さんに「MMTっておかしくないですか?」と聞いてみた』というものがあり、かなり噛み砕いた記事だったのでわかりやすかったです。
日本の若者は他の国に比べて、将来に希望を持つことができていないという調査結果を見たことがあります。
少子高齢、原発を廃炉した後の処理問題、日本には未来に残る負債のような問題が沢山あります。
そして、一つの大きな問題として、日本政府は先進国の中でも大きな赤字を抱えており、このまま赤字が増えていけば将来破綻するかもしれない、というのが刷り込みのように言われていることではないでしょうか。政府は盛んに緊縮財政と叫び、なんとコロナ禍でもお金を出し渋っています。
MMTは日本にデフォルトはありえないと悲観的な常識を真っ向から否定します。
自分もMMTを理解しきれたわけではないですが、現在主流となっている経済理論は根本的には物々交換を想定したものになっています。自分もお金というのは物々交換を拡張するために便利なシロモノとして認識していました。しかし、現実は物々交換だけでは成立しません。例えば工場に出資してオーダーメイドの車を一台作ってもらうとします。部品を発注し組み立てし完成させ、実際に車を受け取るまでには時間がかかります。この時間差があるということと、出資した後に工場が潰れて車を受け取れないという可能性があることを、現在の主流経済理論は想定していません。この誤謬が主流経済理論の欠陥となり、現実の数々の問題や、日本の経済が衰退した原因にも繋がっているというのが、すごくダイナミックで、すべてを覆していくようで、とても面白かったです。
説明が下手すぎると思うので、興味がある方は記事を読んでください。MMTは現在主流の経済理論が地動説だとすればそれに対する天動説と言われるくらい、コペルニクス的転回を伴う理論ですが、かなり常識が覆され、しかもすべて理屈が納得できるため、知的興奮を覚えました。
日本はアメリカの政治を後追いしています。アメリカではオカシオコルテスというとても勢いのある政治家がいるそうです。アメリカのSNSではトランプに次いで2位の影響力のある政治家です。まだ大統領に立候補できる年齢ではないにも関わらず、アンケートで未来の大統領候補にも選ばれたというこの女性が、グリーンニューディールという政策の財源としてMMTを挙げているそうです。アメリカの潮流がMMTに肯定的なものになれば、いつか日本でもMMTを取り入れる時が来るかもしれません。先に挙げた中野剛志さんに学ぶ、日本の未来を考える勉強会という政治家グループもあるようです。この会は採用こそされていませんが、コロナ対策として国民を守るための真水100兆円という提言をまとめたりしています。
日本が緊縮財政への義務感という妄想から解放されれば、多くの必要な分野にお金を出資することが可能になるはずです。
僕は失望してばかりだった日本の政治に、久しぶりに少しばかりの希望を見出した気がしました。
政治に関しては、自分が何か具体的な行動ができるわけではありません。しかし、お金についての考え方は政治だけではなく、個人についても適用できるものです。
最近、自分は投資について勉強しています。
お金とは物々交換から派生したものという誤謬から始まったために、すべてを誤ってしまった主流経済理論。お金とは物を発注しそれが手元に届くまでに至る時間経過を含む約束のようなものだとするMMT。
そして投資ですが、株を買う時、そこには価値が上がるだろうという期待があります。投資をする時には誰も価値が下がるだろうとか、永遠に価値が変わらないだろうとか、そう思ってすることはありません。未来に希望や期待を持つから、投資するのです。
話が飛ぶように思うかもしれませんが、少し自分の話をします。
僕は小説家を目指していました。フリーターをしながら3年くらい頑張ろうと思い、その期間だけは仕事以外の余暇時間をほぼ小説を書くことだけに集中し、1年に何作品かは小説賞に応募しました。結果としては箸にも棒にもかからず、自分には才能がなかったと諦め、一度すっぱりと小説を書くのをやめました。
しかし、書くのをやめても小説を書くことへの気持ちは消えず、商業的に成功しなければ、小説で食っていけなければ、小説を書く意味はないのだろうかとずっと考えていました。
最近になって、前頑張っていた時とはアプローチを変えて、一日に短い時間でも書いて、それを毎日続けるのはどうだろうかと考えていました。
エンタメというのは才能の世界で、売り上げや商業的な価値を持つことがすべてと見なされがちです。だから、自分には才能がないのだと諦めることはとても簡単なことでした。
しかし、小説家になろうと一生懸命書いていた時に、自分の技術不足を常に感じていたのも事実でした。
小説家になるために頑張っていたのは3年でしたが、自分がこれから定年と言われる年齢まで30年もあります。30年間毎日小説をコツコツ書いたとして、もちろん、それが商業的に成功するという保証はどこにもありません。それでも少なくとも今よりは書くことへの技術が身につき、自分が思った通りの文章を書くための力がつくのではないでしょうか。
投資では複利効果というのがあるので長期投資がオススメなのだそうです。小説を書く能力にも長期投資による複利効果がつくといいなと思います。
未来の成長に期待して企業に投資するように、未来の自分の成長に期待して今の自分の時間を投資していくことも大事だと思います。
日本の若者は未来に悲観的で、自殺者も多く、更にコロナ禍のせいで自殺者は増えていると聞きます。
日本の未来は暗く、多くの問題が山積していて、自分には才能がなくて、努力してもそれが価値を持つかはわからない。そんなことを考えていたら、確かに死にたくなっても仕方ないのかもしれません。
しかし、だとしても日本の経済が好転する兆しとしてのMMTの芽はあり、たとえ人に認められなくても能力を上げるための行動を続ければ、確実に技術は向上するでしょう。
コロナ禍は大きな災厄でしたが、同時にこれが世界や日本にとっての転換点となる可能性も大きいと思います。
MMTのことを調べたりして、未来に期待できるかもしれないという感覚を久しぶりに持つことができました。そして、未来に希望を持つからこそ、行動してみよう、頑張ってみようと思えるのだと思います。
とにかく僕は未来の自分の成長に期待して、小説を書く時間を今コツコツと投資していこうと思います。