日本にて
あっという間にパリから東京に帰ってきたように感じています。先生もおっしゃっていましたが、パリにいても日本に居るように歩き、動けました。東京にいてもパリにいるようにパリの街並みと音が内面には見え、聞こえ、感じます。人生においてかけがえのない経験をさせていただきました。こんな人生があるのですね、と誰にともなく話しかけたい気持ちです。最高に楽しく、全ては面白く、充実していました。言葉も通じない初めての場所での作品展、先生のコンサートの開催は、これほど面白いことはないと心底感じる楽しさに満ちていました。私は、色々な国の方、民族の方にお会いできたことが何より嬉しいです。言葉は通じ合わずとも心は通じていけることは人間とし嬉しく幸せを感じます。優しい空間と多くの方々におしゃっていただき、とても嬉しいです。カナダから来られた男性は、お帰りになる時に、この空間が気持ち良いのは、この音が流れているからですねと涙ぐみおっしゃいました。何故こんなに心が安らぐのかを知りたく、活動履歴を読み、スクリーンに映し出されているコンサートの映像を見たとのことです。涙ながらにお礼を伝えてくださいました。
ふと遠慮がちに入ってこられた若い男性に、「ボンジュール」とお声をかけると、優しく微笑み、頷き、挨拶をされました。ボンジュールと、メルシーより言えませんので、それ以上お話はできませんでしたが、マーブリングの和紙を購入してくださり、会計の時に、ちょうど先生がコーヒーを淹れてくださっていたので、差し上げることができてよかったと安堵しました。クルド人であったと知りました。瞳の優しく悲しい輝きが彼の人生を語っていました。フランスは様々な国から移民してこられた方が多いことを、多くの方にお会いすることで自分の生命で感じ、わかることができ、たいへんありがたいと感謝しています。ニュースで見ているだけでは決してわかることができなかったことを自分の生命で感じることができました。生命と生命が交流し、心と心が触れ合う時、言葉はなくてもいいこともわかりました。生命触れ合った瞬間がふと蘇る時、涙が込み上げてくるのです。多くの方にお会いできて本当に嬉しいです。最後の日は、コリアンデイでした。コグリョの子孫であることを告げると、飛び上がらんばかりに驚き、喜び、大にぎわいでした。パリコレにいらしている韓国のデザイナーさんでした。とても楽しい会話ができ、韓国とも繋がる兆しを感じ、嬉しいです。大きな作品展の時も韓国の若い女性が、作品を見て大好きと喜び、とても親しげに傍に寄り添うようにしいました。初めてお会いするのに、身内のように感じました。ずっと傍にいて離れないのです。仕事に行くと言い、立ち去る時は家族を送るようでした。彼女も、別れを惜しむように、涙目になっていました。中国の親子もとても親しげでした。4歳の女の子は満面の笑みで喜んでいました。赤子や幼な子は皆、私に笑顔で挨拶をしてくれました。ずっと前から知っていた仲間に会ったようでした。それこそ、老若男女関係なく、心が触れ合い、交流する美しい空間にて1日中様々な歴史を持つ民族の方々と共にいれましたことが、今でも涙にじむほど嬉しい経験でした。生命には当然ながら国境もなく、言語の違いなど、全く問題にもならず、通じ合えることが真に嬉しいことでした。いだき講座にて運命を解放された生命は、枠も境もなく、他者とひとつになれます。この時の為に、今までの活動も経験もあったのだと感謝よりありません。人間とし生まれ、初めてお会いする方々と心通じ合い、共にいれる人生こそ人間とし生まれてきたからこそ経験できることです。このように生きていける人生ならば、涙が出るほど生まれてきた良かったと感謝に満ちます。
空港に行く前に、再び、ホテルに戻る道に、やっとお土産屋さんを見つけました。オペラ座を前に見る通りです。皆でErikaちゃんに何を買っていけるかと探すひと時もとても楽しかったです。パリの鉛筆、ペン、キーホルダーや鏡くらいよりありませんでしたが、やっとお土産を買えてホッとしました。そしてとっても喜んでくれたことが涙が出るほど嬉しかったです。お土産も買い物もできず、ビデオ講演会もする時間がない程、忙しい日々でしたこともありがたいことです。作品展をしている間に、お一人でも多くの方にお越しいただきたい一心でした。会場の中を歩いているだけで人間が変わっていると、先生がおっしゃってくださったように、私もここに来るだけでこれからの人生は変わるからと言いたい気持ちで、休むことも止まる事も出来ず、ひたすら出会いをつくる為に動きました。世界中の方にお会いできる場があることは最高に恵まれています。この機会を作ることができ、大いなる存在のはたらきかけに感謝よりありません。
帰国する日にシラク仏元大統領がお亡くなりになりました。日本武道館でのコンサートの時だったと記憶していますが、大統領府からメッセージをいただきましたことはずっと心にあり、感謝しています。フランスの地にて先生に演奏していただく機会を作れ、良かったと訃報を知った時は胸に手をあて、フランスの地を感じました。
この場を通し、皆様とも共にさせていただき、ありがとうございます。