新しい文明のはじまり
心配していた土砂降りもいつしか上がり、
東海地方へ入る頃には薄陽がさしていました。
紅葉の山々のあいだから一瞬のぞいた富士山の影と、
生まれたてのように細い月の姿に胸がふるえました。
前夜には、大津市にて
知り合いの経営者がひき逃げ事故で亡くなった知らせを受け、
気持ちが追いつかないまま、ただ無事に辿りつくことだけを願い、
車を走らせました。
本来なら整えてから伺うべきところを叶わず、
胸のどこかに重さを抱えたままの到着で、
申し訳ない気持ちでいっぱいでした。
しかし「いのちの食 キッチンラボ」に近づくにつれ、
この世のものとは思えぬ明るさに心躍り、
その重さがゆっくりほどけていくのを感じました。
高麗恵子さんの笑顔に触れ心から安堵し、
お兄様とお二人並んで挨拶をされたようで感激しました。
詩から生まれたお料理・・・
一皿目から立ちのぼる香りは驚くほど豊かで、
いのち全てで全てのいのちに感謝の気持ちが生まれます。
それだけで場が清まり、静かに深まっていくようです。
只々しあわせで、「美味しいね」「素敵だね」「きれいだね」
と微笑み合うみなさまと、まるで高句麗の地に居るようで
幸せでした。
若い女性の初々しい言葉に、
高麗恵子さんがぱっと花が咲くように微笑まれた瞬間、
四方八方にまで広がる美しい気配あり、
厨房の方々のお姿が見えずとも、
いのちひとつの営みが確かに感じられました。
何もかもが
これまで経験したことのない尊い営み。
この夜はただのお食事会ではなく、
何かが “はじまる” とき特有の、
秘めた光のようなものが確かに流れていました。
言葉では表しきれませんが、
確かにこう感じました。
ー新しい文明のはじまりー
その立ち上がる歴史的な瞬間に立ち会わせていただけたこと、
胸の奥がじんわり温かくなる幸せです。
本日は大開運カフェ「東京高麗屋」の予約日。
今後、予約のできない催しになりそうな予感があり、
12月分もすでに予約済みです。
尊い日々を、
心より、ありがとうございます。
