意識
三鷹でのコンサートをありがとうございました。
今日は終始ピアノの音に集中して聴いていました。
第一部の開演から、いつになく気持ちが落ち着いていました。いつもなら頭の働きに悩まされるところですが、今日はそれもなく、むしろ余計な雑念をひとつひとつ払い除けていきました。ピアノの音に体が反応すると、臓器が歪むような体感があったり違和する部分は痛みを感じます。普段ならそのような感覚に意識が引っ張られたりしますが、今日はそのような感覚もピアノの音とともに、ありのままを受け容れていきました。そのような状態は意外にも気持ちの良いものでした。そして、ある瞬間をとらえると音が一変し、それらの感覚も音の渦の中に溶け込み消えていきました。蒼い草原に樹が一本独立し、吹き渡る風で若草がなびく光景が広がりました。鮮やかな青色の空には、風に押し流されて次々と入れ替わる雲の群れがありました。草原を金色に染める陽の光は、明るい未来から差し込むものと感じました。そして、刻一刻と変化する自然の豊かさと命がともにある状態に感動すら覚えました。
第二部でもありのままを受け容れていきました。普段ならある瞬間の経験を記憶として反芻したりもするのですが、今日はそれもやめて、留まることのない「今」に集中していきました。何階層もの音が同時に繰り広げられるピアノの音も、普段は一つの音に意識が向けられることが多いのですが、重なる複数の音をそのままに瞬間でとらえるように聴いていました。すると異なる階層の音にはそれぞれに美しさと感動があり、このような瞬間、瞬間を掴まえる経験が何とも愉しいのです。今という瞬間がこれだけの愉しみや感動に満ち溢れているとすれば、日常でも24時間このような状態で過ごすことができたらどんなに幸せだろうかと聴き入っていました。そして、波のように次々と押し寄せる瞬間、瞬間の「今」を経験しているうちに、音は「未来」からやって来ると感じました。
ありがとうございます。