夏桜
今の季節に咲くことのない花。夏の桜。
先生の演奏が続く中、ある時から一音一音は
桜の花びらのように感じていました。
身の内に桜が咲き、果てない聖なる空間に、
その音の花びらは、あたたかくも、
激しい春風と共に舞い上がるようでした。
亡くなられた方が帰ってこられる季節だからか。
日本では310万人以上とも言われる犠牲者を出した、
前の戦争の終わりと言われる季節を迎えたからか。
その桜色の一音一音に、多くの人々の魂、存在を重ねていました。
この季節が生む思い込みとも思いました。
それでもいいと感じてしまいました。
生まれてくる気持ちは、誰一人漏れることなく、
この世に生まれ確かに存在していた尊い人間としての
魂が報われて欲しいという気持ちでした。
未来の人たちが、輝き、幸福であって欲しいという気持ちでした。
先生が顕される、この果てない神聖な空間で、
世界中の誰しも永遠に輝いて欲しいと願いました。
先生の演奏はどこまでも美しく、あたたかい生命讃歌と感じました。
コンサートという限られた時間と空間でも
先生の表現される音空間に身を任せると時空を超え、
身の内であらゆる生命と交わる今を実感します。
生命の神秘を知り、深く、深く感動します。
季節外れに身の内に咲いた桜は、
美しい未来のために生きることを教えてくれました。
アンコールでは、すぐに新しい明日へと続く生命の胎動を感じました。
本日はありがとうございます。明日もよろしくお願いいたします。