光に抱かれ
先生のお誕生日の日は沖縄慰霊の日であります。黙祷を捧げ、ニュースで式典の様子を見、現地の方々のお話をお聞きしていると、沖縄平和公園にて先生が祈りを捧げるコンサートをしてくださり、日の出から日の入りまで演奏してくださったことを思い出し、現地にて身に受け感じた言うに言われぬ悲しみがこみ上げてきました。4人に一人が亡くなったと聞きました。今年で77年と聞き、先生のお誕生日でもあり、先生の幼少の頃には日本ではあまりに無残なことが起こっていたことを想います。先生はすべてを身に受ける御方ですので、このようなことも原爆の悲惨さも悲しみも身に受け生きてこられたことを改めて考えました。お母様のことも感じ、私には涙よりありません。昨日、先生がおられると見え、駆け足で飛んでいったところには人はいなかった経験が心にあり続け、今日になってもその衝撃が胸の内に残っていました。いつもいてくださる先生がいらっしゃらないと気づいた時、同じ地球上に生きているとは思えないほど、生きる力も気力もなくなりました。先生がおられるので生きていけることを改めて身にしみ感じた今年の先生のお誕生日でした。
コンサートホールの楽屋にて先生にご挨拶をさせていただいた時は安堵し、喜び、お誕生日のお祝いを申し上げることを忘れてしまいました。先生からこけしをいただき、急いでお祝いを申し上げることができました。美しく、可憐でとても可愛いこけしさんは、こんなに可愛いのに、凛とし、邪や魔を寄せ付けない強さはあり、純粋さがあります。感動しました。これからはこのこけしさんのように生きていければいいとこれからの生き方の見本を見せていただき、大変うれしくありがたいです。
全国からお越しいただき、大変ありがたい気持ちでいっぱいで、皆様をお迎えさせていただきました。皆様、先生のお誕生日をお祝いしようと駆けつけてこられましたことをエネルギーでも感じ、感謝いっぱいです。熱気あふれる中、コンサートは始まりました。
第一部「生きとし生けるものの聖なるちから」
「単独では、生命は、生命を維持できません。ほとんど総ての生物は「食」して生きています。ただ全体的には食のバランスは崩れ、危機の状態にあります。戦争は食の流通を不安定、あるいは止めることによって、意図的に食料危機を作り出します。蛮行という以外の何ものでもありません。この世の戦い方で勝利したとしても勝者の側の生命を傷つけ、次の世代には、どのような理屈をもってしても何ひとつ命を癒やすものはありません。地球温暖化まで含めて全体的に生命間はアンバランスな危機状態にあります。このギリギリの時の生命内から放つエネルギーは平時では考えることもできないほど凄まじいものです。これを「聖なるちから」といわずに何といいましょう。」
第一音から深く、ロマンにあふれ、胸動き、感動します。この音をなんと表現したら良いのでしょうか、と考えながら、素敵なロマンあふれる音に聞き入ります。生命の悲しみ、地球の悲しみ、生命あるすべての存在の悲しみを感じながらも悲しだけではない、ある何かがありました。愛であり光を感じました。先生の演奏から見える図形を言葉にする時、「悲しみ」と表現する状態が見えるのですが、最後の音は「み」にはならないのです。「悲し」の次は、光に包まれ悲しみは身につくことはないのです。先生が「聖なるちから」と表現される状態は悲しみでさえも、光に抱かれ、光に変わり、生きる力に変えていくエネルギーと感じ、畏れ多く魂震えます。ニュースで見ていた沖縄の98歳の女性の言葉が心にありましたので、悲しみを感じていました。沖縄での悲しみが今はウクライナでも起こっていることに戦争はどのような理由があってもやってはいけないこととおっしゃるお声の響きまでも胸に響いていました。先生が表現してくださる「聖なるちから」がどなたの生命の内からも放たれますことを祈らざるを得ません。演奏中にずっと見えた悲しみを支え、抱く光が救いです。地球の危機を救済するはたらきを見ました。深く感動し、生きる希望となります。
第2部「凛とした内面」
「日本文化の特徴である凛とした姿は、世界に通じる姿です。不安定な危機状況にあってこそ、どのような時も呼吸を整え、姿勢を乱すことなく、事にあたる日本人は美しいのです。本日は忘れてはいけない沖縄慰霊の日です。二度と繰り返してはならない戦争です。戦没者の御霊に、凛とした内面により、頭を垂れます。凛とした内面こそが、人類が到達した美しい姿です。これから生きる上での要です。」
凛としたという表現に、先程いただきました「こけし」を想います。演奏からは凛とした内面とはこのような状態であると経験させていただき、わかる経験でした。「戦没者の御霊に凛とした内面で頭を垂れます」とのお言葉がずっと心にありました。凛とした内面でなければ、慰霊にならないのだと正に頭を垂れました。悲しみを感じながらも、悲しみより深く大きな愛に抱かれ、愛の風が吹き抜けるひろい空間に身を置かせていただくだけで、未来へ向かい生きる力と気概がみなぎって参ります。生きていることに感謝し涙あふれます。生命の尊さが生命に染み、感謝と喜びに震えます。愛の風が吹く空間は永遠なる生を感じます。ここで生きると、それよりありません。感動に震え終演となりました。熱い拍手に感謝、感動です。全国からお集まりいただき、これほどの感動の経験を共にさせていただき、ありがたいばかりです。そして何よりいつも生命賭け、人類の未来を創造する為に即興演奏をしてくださる先生のお働きに感謝よりありません。私は人類救済の道はここにあるということをお伝えできる人間となることを心に誓い、先生のお誕生日は皆の真の人生の誕生日となると予感していたことを実行します。ありがとうございます。