モノの神秘

三鷹でのコンサートをありがとうございました。

第一部では、どうしても過去に覆われてしまう最近の頭の状態について、出口を問うていました。そして、存在が現れるモノづくり、と答えが出ました。例えば、腐敗しにくい生命力に溢れた野菜をつくるには、余計なものがない綺麗な命の状態で、適切なタイミングや優先順位を含め、栽培のあり方に詳細を極めた緻密さが求められ、作り手の生きている状態そのものがモノに現れると感じました。そして、己の存在を現わし人の役にたつような生き方を目指すのであれば、そのような目の前の緻密さに集中すべきであり、過去の頭に時間を費やすことがどれほど身勝手で暇な人の行為であるかに気づき、目が覚めるようでした。

第二部では、頭が過去から完全に抜けた爽快な状態で、生き物のような動きを感じさせるピアノの美しい音の瞬間・瞬間に身を委ねていました。すると、生命力に溢れたモノを口にした時の美味しいという感覚の中には、これまでに経験したことのない美しさや、楽しさ、悦び、感動がありました。そして、命の輝きとともに満面の笑みと幸せが生まれたときに、神ともいえる存在が現れ、もはや物体としてのモノを超越した「モノ」を経験し、輝かしい未来への希望となりました。

ありがとうございます。