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“アゴニ―坂”


摩耶別山(717ⅿ)に登る“アゴニー坂”はなんということもなかった。「顎」と「膝」とがひっつくくらいな急坂との意味らしいが、やはり英語の「Agony」(苦痛)が語源だろう。杣谷から登ってくれば、最後の急坂ではある。しかし、15分もかからないし、斜度も大したことはない。むしろその前に登った「シェール槍」(630m)の方が岩場の難所である。ただ、槍のピークで休んでいると、後から来た男性パーティーの人に、「失礼だが、相当のご年配では?」と言われたのがショックで、“アゴニ―坂”なんか何でもないと思いたかったのかもしれない。いくら若々しくあろうと思っても、もう「相当の年配」に見えるのかと思ったり、やっと実年齢通りにみられたからいいではないかと思ったり……。

そんなことを思いながら、桜谷を下っていくと、意外に時間がかかり、ついに新穂高への登り口が見つからない。さらに、地図で確かめているのに、方向感覚を失ってしまい、生田川を南下しているのに、ずっと西行の感覚でいるのだった。森林公園の東口が右手にあるのが理解できなかった。幸い後から来た人に聞くことができたが、悔いの残る参考だった。

やはり人生の“アゴニ―坂”にさしかかっているのかもしれない。

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ウラジオストクにて
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府中の森芸術劇場ウィーンホールにて
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